NIPPON BAUHAUS SOCIETY
ジョゼフ・アルバースの授業 色と素材の実験室~千葉・川村美術館を訪ねて
by 日本バウハウス協会
川村美術館外観,千葉県佐倉市(©H.Shiroi)

ジョゼフ・アルバースは1919年から1923年10月までバウハウスに学生として在籍。イッテンの予備課程を受け、その後ガラス絵の工房を設立、1922年職人衆に昇進。1923年10月から1933年まで教員としてバウハウスにとどまった。
「素材論と技術論」を最も重要な基礎授業として第一学期生に教えた。1930年指物部の主任になり、1930年10月以降高学年のための「対象デッサン」を受け持った。
1933年、アメリカ合衆国へ亡命、シカゴの前衛学校ブラックマウンテンカレッジで基礎教育を教えた。
基礎教育を通して、新たなテーマを考え、クリエイティブに発想するワークショップ的授業だったと言われている。
生徒に独創性とオリジナリティを求めた。常に新たな発想で新たなデザインに挑戦する姿勢を基礎から教えたと言える。教える授業ではなく、感じ取り、考え、新たな発見を生み出す授業だった。単なる基礎教育ではなく、考える基礎教育と言える。

ワークショップ スペース

2023年7月29日から11月5日まで千葉・川村美術館で開催されたジョセフ・アルバース展を訪れた。
美しい池のほとりに立つ美術館。ヨーロッパの雰囲気を楽しめるところだった。
展覧会場ではアルバースの色彩の実験を追求した、70年代の前衛芸術に影響を与えた「オプアート」の最高傑作と言われる「正方形賛歌」を見ることが出来た。
ワークショップの部屋にはテーブルいっぱいに色紙が置いてあり、好きな色の組み合わせを色彩実験できるように配慮していた。色の組み合わせでまるで色の印象が違って見える、そんな実験も楽しめた。色紙を折って色々な質感のフォルムに挑戦できるワークショップではバウハウス独自の創造的授業を体感できた。ジョセフ・アルバースの授業をリアルに実感できる楽しい体験だった。現代の私たちにとっても色紙の折り方で色々な表情を発見できるプログラムだった。


今回の展覧会に行って一番感動したのは、アルバース夫妻の作品図録の美しいタイポグラフィーであった。売店で見て何よりも欲しいと思うデザインだった。

城井廣邦(日本バウハウス協会専務理事)