デッサウのバウハウス校舎はモダニズム建築の原点として形式的で機能的な側面から語られることが多い。
校舎は建築が自然との対比の中にあり、宇宙空間に入り込んだような感覚を味わえる。当時の人々の眼にはその建物は透明に光り輝く巨大な浮遊する建築の様に見えただろう。
「明け方、デッサウに着くと町は深い霧がたちこめていた。そこここに頼りなげな灯が湿った空気をぼんやりと見透かすと上空から落ちる強烈な光の帯が目に入った。巨大な光の立方体バウハウスの校舎だった。まるで光の行灯の様に浮いて見えた。見たことのない新しい建築だった。」
世界で初めての全面ガラスウォールの校舎はモダン建築の代表として、世界に大きな衝撃が走った。注目される新建築となった。
デッサウのバウハウス校舎は革新的発想を代表するものである。こうして革新するバウハウスは走り続けた。理念をカタチで見せることができた時、その理念は一気に理解されるスピードが加速する。モノゴトの背景にある考え方はとても大切だが、カタチにすることの努力が重要であることを学んだ。
城井廣邦(日本バウハウス協会専務理事)